ハミルトンの実験は、今から50年以上も前に「男性ホルモンと遺伝の関連性を発見した」アメリカの解剖学者「J・B・ハミルトン」氏により実証されたホルモン実験を言います。
実証した証明に、次の実験方法が行われています。
下記の図1は、思春期前後に去勢された人を対象に、脱毛症を持つ家系で調べた結果です。
この実験は、脱毛症を持つ家系を対象にして去勢後にテストステロンを投与すると再び脱毛が始まるのは、抜け毛と遺伝性との繋がりを証明する結果としたものです。
この証明をもとに、現在までに修正されてきたAGAの指標となる7段階の分類表の原点になります。
ハミルトン|AGA指標は7段階の分類表にある
実証された結果から、ハゲにつながる脱毛症を持つ家系では「テストステロン」がハゲにつながる男性ホルモンとし、男性型脱毛症の指標ができました。
前頭部から進行がある脱毛をM型、頭頂部から進行を始める脱毛をO型とし、ハゲが進行する部位を7段階に分類し男性脱毛症の指標としました。
ハミルトンとノーウッド|AGA指標を一部改定した医師
その後、植毛外科医である「OT・ノーウッド」氏が1975年に改定した部位は、下記の表1にある男性型脱毛症と判断する長さを改定しています。
- 改定前…ハミルトン
額の生え際の先端「頭頂線前方3㎝こえて後退」する - 改定後…ノーウッド
額の生え際の先端「頭頂線前方2㎝こえて後退」する
男性型脱毛症の定義は「ハミルトン・ノーウッド分類表の指標」としています。
前頭部の角額の生え際から「はげ」が後退を示す頭頂部までの長さは、下記の図になります。
下の図は、AGAと判断する境界線です。
日本人は、額の生え際が境界線に達していないのに頭頂部が「ハゲ」るため、新たに日本の医師がつけ加えた指標が作成されます。
- 角額(すみびたい)…角にある額の生え際
ハミルトン・ノーウッド|日本で指標を取り入れた理由
日本では、AGA治療を始める前には指標がありませんでした。
ハミルトン・ノーウッド指標を取り入れる大きなきっかけは、AGA治療薬が日本で認可されたことです。
日本の薄毛治療は「育毛剤や発毛剤を使用する」くらいで、本格的な治療薬を取り扱うことがなかったため、初めてAGA治療を開始するには、AGAの判断基準「AGAの指標」が必要だったわけです。
2005年12月から始まったAGA治療薬「プロペシア」での治療は、AGAを取り扱う皮膚科には多くの治療者が殺到し爆発的な人気となったのです。
ハミルトン・ノーウッド|日本のAGA判断は「高島分類」
日本人は欧米人の脱毛症とは違い「前頭部よりも頭頂部に多くハゲ」があります。
そのために、Ⅱ-Vertex(頭頂)の意味を加えた皮膚科医「高島 厳」氏により、日本人向けの指標として「高島分類」ができました。
日本人向けに修正された「高島分類」
現在では、日本人向けに修正された「高島分類」をもとにAGAの判断基準とし、一般的に「高島分類」を使用しています。
下の図を見ると、日本人のAGAは頭頂部とM字に多いため7段階の分類では主体になっています。
こうして、ハミルトン・ノーウッド指標は、高島分類になるまで30年の時を経て日本人向けのAGA指標になったのです。
ハミルトン・ノーウッド|AGA治療薬で治療する高島分類
AGAの進行段階である1段階から5段階までを、AGA治療薬で治療ができる範囲としています。進行段階が進むにつれて併用する治療薬も増えてくる治療法です。
この判断基準も、個人差があります。
前頭部に多くハゲがあるとAGA治療薬よりも施術治療が効果を上げるため、4段階からの進行状況によっては施術治療を勧められる場合もあります。
まとめ
日本で始まったAGA治療は、ほんの14年前に対して、欧米の研究者は50数年以上も前から「ハゲを持つ家系とホルモンの遺伝性」に、つながりを研究していたのは驚きです。
AGA治療や治療薬の開発が進んでいた理由も、研究歳月を見れば日本と欧米の差は歴然です。
欧米人と日本人では「はげの特徴」が異なるのは人種によるものだと考えられています。
たしかに、日本人は前頭部のハゲよりも頭頂部のハゲが目立つ人が多くいますし、M字の人も多くいます。
ハミルトン・ノーウッド指標がなければ、現在のAGA治療はどうなっていたのか予測すらできなかったことでしょう。